このまえ海に行ったから、
今度は温泉にでもつかってこよう、と
Gマップをみたらほとんど山の中ばかり。
峠越え、凍結、大雪の予報がおおい。
むかし勝兄とつげ義春の”貧困旅行記”をもとに
”もうこれ以上落ちぶれようがない!”というほどの
湯治場さがして行ったもんだけど、
何もつげさんのように自己否定の極みを求めてはいなかった。
ただただ、田舎の爺さんバーさんらと混浴するのが
都会の銭湯と違って面白かったのである。
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石灰岩露天掘りの聖地、雷の聖地、栃木県南西部
2年前の台風でほんとに氾濫して渡良瀬遊水池一帯 海になってた!
そのちかくに天然温泉ヘルスセンターが生きのこってて、小高い山もある。
リハビを兼ねて山のぼって汗かいて温泉につかる。
夜16号走って利根川に架かる橋のたもと、羽生道の駅で車中泊。
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利根川わたればどこ行ってもすいすいの感覚があるけど、
休日の大晦日、天気もいい、空には真ん丸の残月。
道の駅もガラガラ。
舘林、佐野方面へ向かう。
めざした天然温泉ヘルスセンター”鹿島園”は
朝早いから誰もいない。
レトロもレトロ、そと見ただけでわかる。
場所確認して、すぐ近くの大坊山へ行く。
神社の駐車場も誰もいない。
ゆっくり準備する。
賽銭投げて裏手に回る。
名もない展望所はたいてい枝木がはらわれてない。
あしたが謹賀新年ということで神社の後ろは氏子さんたちが
藪を払って清められている。
そこから関東平野を一望する。
避雷針のよこに米粒ぐらいの富士山。
あそこに富士山があるってことは、山の端は丹沢の大山だ。
いい場所なんだけど人が多い、世界一の高尾山にはかなわないにしても、、、
関東平野まるで海だね。
厚木、伊勢原の大山、別名雨降り山。
てまえは渡良瀬川、河川管理が厳しくて近づけない。
足尾の鉱毒事件もさることながら首都圏の安全保障に直結してる。
ぶれてしまったので小さいカラーのまま。
建物になじみがないからわからない。
半逆光でこれ以上無理、目が疲れる。
ぼちぼち人が登ってくる。
写真なんかとってるから1時間ぐらいたってしまった。
リハビを兼ねて?ボッチらぼっちらのぼる。
なだらかな礫の山、よくすべる。
ウォーキングステイックより山伏のような六根清浄の一本杖のほうが
片手が空いていい。なにもなければ四つん這いがいい。
ただ下りは長い杖一本あると速い。
マタギ、山伏の速いこと!
藪漕ぎしなきゃならないとなればヘルメットほしい。
ナイロンの服はびりびり破れる!
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落雷で燃え尽きた頂上の社。
残った鳥居の柱にしめ縄が張ってあり
そこから先は聖域として結界。
縄文以来の自然信仰がシンプルに形でのこってる。
アメニモマケズ、フンニモマケズ 、、、
南西側、いわゆる関東山地。秩父多摩甲斐、もしかしたら信州の山も写ってるかもしれない。
関東平野はこの右側、西の奥のほうまで広がってる。群馬、多胡羊太夫のふるさと。
大坊山の西側、手前は北に延びる足利のまち。
その向こうに雪に降られた赤城山、そのまた向こうは榛名山?かもしれない。
天気がいいのでハイキングの人が結構やってくる。
9割がた年配のひとたち、元気にさっさと歩いてゆく。
散歩ウォーキングなみの静かな山です。
汗をかかないから小さなブラックコーヒーボトルが余る。
さて温泉につかってからどうするか?
秩父?足尾?日光?まよってるうちに自分は海のほうが好きなんだなーときづいて
銚子に行こうと決める。
鹿島園いったら地元の車でけっこう混んでる、といってもだだっ広いから
大したことはない。
入浴料ぷらすカレーかラーメンで1000円セット勧められる。
安すぎ。
疲れてないしもともと長湯は苦手、間が持たない。
広ーい休憩室(いくつもある)でそれなりの量のカレーをたべて
日の高く上がる日高見の国、つくばへ向かう。
”なぜ人類はアフリカから東へ東へとむかっていったのか?
それは東から太陽が上がるから、、、陸の果て ランズエンドまで行って見よう、
という私の学説は100年たっても認められないでしょう。”
と半分やけっぱちに田中英道さんは言う。
食料やエサはある、裸で暮らせる。動物ならアフリカでじゅうぶんだ。
にもかかわらず人類は歩き出した、なぜ?
おそらく永遠のなぞ。
とちゅう面白い看板見つけてせっかく佐野まで来たんだからと
小山の手前でラーメン食べていく。
和風 鶏かつおだしで美味、650円 安い!
Q ロシア プーチンが最も信頼しているアメリカ人
Mark A. Milley
ハルマゲドンを起こさせないという一点で彼らは共謀している。
それでは皆様よいお年を!
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そうだ、銚子はどうなったかというと最悪にして最善。
銚子港のそばの浜で車のサイドを太陽の出てくる方角に向けて
車を降りずに日の出を見られようにして寝ていたら、
12時前にまわりできゃんきゃんわーわー。
ここは犬吠埼ではないのに!!
瞬間的に悟った、
”自分は他人と同じことをするのが嫌いだ!”
そこからは湾岸千葉を超えるまで延々と東に向かう車列に逆行して逃げてきた。
多摩川わたってからはおおぜいの庶民が初日の出を土手から、橋から、
歩道橋からケータイ、スマホで写真を撮っていた。
あーこれが日本なんだ。
私たちは何百万年も前から地球の上っ面をひっかいてきてるだけ。
崇高で偉大なことを成し遂げたいとおもっも不死ではないから
現象、現実の上っ面をひっかいただけで一生を終わらせるしかない。
しかしそれでいいのだ。
そうやって命がつながれていくことこそ
太陽が東から登って西へ沈むくりかえし、それを日本語では
🎊ございますという。